八代玲司
Yashiro Reiji
商店街で焼肉店「八代屋」を営む八代玲司は、『NAjNA』や『LUNAR EXIT』の世界観において、最も温かく、最も滑稽であり ながら、決して欠かせない存在である。楽天家でメンツを重んじるものの、まったく気取らない性格。彼の人生哲学は極めてシンプル――音楽、笑い、仲間、そして焼肉の賑やかな煙。それが人生のすべてだ。ベースの腕前は「普通より少し劣る程度」かもしれないが、彼の奏でる音の底には、純粋なよろこびと人を惹きつける力がある。
バンド「三人の小悪魔と未来のおじさん」のベーシスト兼「ボス」として、八代はライブを予測不能な大騒ぎの宴へと変えてきた。彼の最も有名な伝説は「公園全裸疾走で逮捕された事件」。この奇妙な出来事が、なんと伸夫がブルーノート東京へ向かうのを阻み、LUNAとMAYAの運命的な出会いを間接的に引き起こしたのだ。そのため八代は、「LUNAR EXITの生みの親」と称されることもある。彼の何気ない行動が、伝説のバンド誕生へと繋がったのである。
彼の心の中には、秘めたる一途な想いがある。NAjNAのボーカル・神城SARAに対し、ひそかに慕いを抱いているのだ。SARAを手の届かない女神のように見なし、彼女の持つ独特の気配に深く魅了されながらも、その敬愛ゆえに、あえて深く関わることをためらってきた。この奥ゆかしい感情は、彼の純粋さと人を思いやる優しさを物語っている。
八代と親友の伸夫は、幼い頃からの「腐れ 縁」。八代が次々とトラブルを起こし(商店街の看板を倒したり、夏祭りで花火騒動を引き起こしたり)、伸夫はそんな彼の「最高の悪友兼お片付け係」となっている。彼の巻き起こす騒ぎや、焼肉への揺るぎないこだわり(伸夫のために「10年分の焼肉」を焼いたこともある)は、仲間を見守る、最も不器用で最も温かな愛情表現なのだ。
人生を笑いに変えながらも、彼は誰よりも人の痛みに敏く、誰よりも温かく人を見守っている。――そんな男が、八代玲司である。

